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食事の「見守」「一部介助」とは?今さら聞けない障害児の食事介助ポイント

見守り、一部介助、部分介助とは何か?

食事介助を知っていますか?

高齢者だけでなく、何らかの障害を持った子たちも食事の際に介助を受けている子がいます。

介助の方法も様々です。

「全介助」ばかりではありません。

「一部介助」「部分介助」「見守り」などもあります。

今回は食事介助の種類について説明します。

 

 

食事介助の種類

対象となる子が「どのくらいの介助が必要か?」で介助の種類が異なります。

介助の方法というよりは介助の量がポイントとなります。

 

ポイント!

・全介助

・半介助

・一部介助

・見守り 

 

 

食事介助の種類とポイント

それでは介助の種類を説明していきます。

介助量がより必要な順に説明していきます。

 

 

全介助

「全介助」とは文字の通り、すべてを介助で食べてもらうということです。

身体を動かせない等の障害が重い子に多い介助方法です。

 

ex.

介助者が、食事をスプーンですくって、子どもの口へ運んで、飲み込む手伝いをして、正しく飲み込めたか確認して、次をあげる。

これらの一連の流れを介助で行っていきます。

 

 

半介助

「半介助(はんかいじょ)」は、

ひとりでできることはありますが介助が必要な状態です。

「一部介助」よりも、より多くの介助が必要となります。

 

ex.

スプーンは持てる。

しかし、口に正しく入れらなかったり、こぼしてしまったりすることが多い。

そのため、介助者が子どもの手を持って食べるときの途中の動きを助けてあげる必要がある。

 

 

一部介助

「一部介助」も何だかよくわからないことばだと思います。

「部分介助」とも呼ばれます。

 

ひとりでできることも多い。

しかし、すべて本人任せでは不安が残るし危険な場面もある。

食べるときは介助者がそばで見守りつつ、所々で介助を行う必要がある状態を指します。

 

ex.

ひとりで食べられる。

しかし、食材を大きいまま口に入れてしまったり、ふたを開けられなかったりすることがある。

 

対応として、提供する前に食材をその子に合った状態にしておくことが大切です。

・カットする

・骨を取り除く

など。カットする場合は細かくすれば食べやすいと思われがちです。

しかし、刻む=食べやすい形態ではないことを知っておいてください!

逆に喉に詰まりやすくなる可能性もあります。

 

 

見守り 

介助をするまでではない。

しかし、「危なっかしい」ので隣で大人が見守っている必要がありそう。

そんな子に対して行います。

 

ex.
目を離すと詰め込み食べをする傾向がある

 

自分で食べられているので「介助をする必要はない」と思われている子がいます。

しかし、そういう子でも「見守り」は必要であることが多いです。

ただ食べているのを見ているだけではダメです。ポイントは

 

・一度に口に入れる量(一口量)は多過ぎないか?

・食べるスピードが速すぎないか?

・丸飲みになっていないか?

・姿勢が崩れていないか?

・その他(盗食など)

 

などをチェックします。

必要があればさり気なく止めたり、声をかけたりしていきます。

 

施設でみられるNGな対応

子どもが食べている子の横で、夢中になって連絡帳や支援記録を書いている支援者がいます。

その子が食に関して何も問題がなければよいのですが、「大丈夫」と思われている子ほど、予想もしなかったような事故を起こすケースが後を絶ちません。

食事中は、しっかりと目の前にいる子の食べる様子はみておくべきです。 

 

 

食事介助のポイント

必要な介助の量によって介助の種類が異なるとはなしました。

では介助者はどのようなことに介助をしているのでしょうか?

必要な視点をまとめました。

 

食具と身体の動き

食事介助と聞くと、全て支援者が食べさせる「全介助」を思い浮かべると思います。

しかし、子どもによっては介助を減らした方がよい場合もあります。

 

たとえば、一部介助では「スプーンなどの、食具の使い方」が問題となりやすい。

 

ex. 食物に狙いを定めて握ったスプーンですくう。

「すくう動き」をする時には私たちは無意識のうちに、身体が前後に動かないよう自分で調節(保持)しながら食べているのです。

本来であればスプーンを持った手の「外から内への動き」によって身体が後ろに逸れてしまうのです。

障害を持ったお子さんは、ここが苦手なためにうまくスプーンを使えない子もいます。

「すくう」という動作は実に曲者なのです。

握り方にばかり目が行ってしまいがちですが、実は身体全体の使い方を見ていくことの方が大切なのです。

 

食具の使い方は「手(の操作)の発達」と大きな関係があります

 

 

目の使い方

また、手を使うことは同じくらい「目の使い方」が大切です。

乳児期の初めの頃は、手と目を一緒に使うことができません。

日常的に様々な経験を繰り返すことで、目を使いながら(見ながら)手を使うようになって、徐々に自分の動きを調節しながら食べることが出来るようになります。

そのため、物を見ないお子さんに、スプーンの使い方を練習させても成果が上がりづらいと思います。

 

無理やり正しい持ち方を練習させる、というのでは、食事自体が嫌いになってしまいます。

 

では、どうすればよいのか?

遊びの中で、手や目を使う動きが出るようなものを取り入れてみるのがスマートだと思います。

 

ex.

例えば、砂場遊びで、スプーンのようなものを使って砂をコップや茶椀などの容器に入れてみる、などが考えられます。

バケツよりも実際の食事で使用するカップ等の大きさのものがよいです。

 

 

 

まとめとして

今回は子どもに食事介助するときの「介助量」について説明しました。

子どもが持っている力を無駄にしないためにも、その力を伸ばしていくためにも介助の量を調節すること大切です。

よかったら参考にしてみてくださいね。

 

ポイント!

・全介助  ⇒すべて介助を行う

・半介助  ⇒必要なときに介助を行う

・一部介助 ⇒基本見守り。+介助

・見守り     ⇒見守る。

 

 

 

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障害を持った子の食事介助④食べる機能の順番

hana-mode.hatenablog.com

 

2017年2月4日投稿